2007年09月28日



門 夏目漱石 新潮文庫

 中国北京故宮(こきゅう)にてガイドさんが説明してくれたのですが、写真は映画ラストエンペラーの主人公清朝皇帝溥儀(ふぎ)がこどもの頃遊んだ場所だそうです。塀の中で暮らす同世代の友だちもいないさびしい境遇だったそうです。
 さて、中国というところは、なんと門が多いところだろうかという感慨をもちました。万里の長城しかりです。外敵から身を守るために門をつくる、内部の反乱者を外に出さず内部で処分するために門をつくる、私はそう受け取りました。加えて、中国は「石」の文化があると受け取りました。木造2階建て建売住宅様のものが市内に見当たらない。レンガ造りの1戸建てかマンションです。ひるがえって日本を見ると防御は「堀」、建物文化は「木」と中国に行って確認しました。
 何か門にちなんだ作品の感想はないかとさがしたら夏目漱石作がみつかりましたので記します。
テレビはない。パソコンも携帯電話も車もない。古き良き明治時代のお話です。伊藤博文氏の暗殺の報道が話題として出てくる。(明治42年10月没)
 親族間のお金のごたごた話が出る。上流階級のお話です。読んでいて距離感あり。日記を文章化してある。それを作品化してある。夫婦と個人をめぐるなりわい話である。何がいいたいのか。お金持ちが時間つぶしに読む読み物になっている。この作品は試作品ではないかと疑心暗鬼になってくる。夫婦が結ばれた過去をさかのぼることによってふたりの哀しさが伝わってくる。友人の恋人あるいは妻と恋愛関係になって、その人を友人から奪うことに後ろ向きの気持ちでありながらも罪悪感を感じつつ実行してしまった主人公。同じ作者の「こころ」を思い出す。

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